青森の未来を耕す人たち

西巻公嗣さん
西巻公嗣さん
つがる市東京事務所 産業振興係長

【「果房 メロンとロマン」概要】
2019年7月に新宿区神楽坂にオープンした、つがる市のメロンに特化したアンテナショップ。「日本初のメロン専門工房」がコンセプトで、店内ではつがる市のメロンをはじめ、国内外のメロンを使ったお洒落なスイーツが通年で楽しめる。1階には、無料で飲めるメロンフレーバーウォーターを設置。シーズンごとに変わるメニューも人気。不定期でイベントも開催している。

―「果房 メロンとロマン」とは、どんなお店ですか?

「果房 メロンとロマン」は、2019年7月、東京・神楽坂にオープンした、つがる市のアンテナショップです。「日本初のメロン専門工房」をコンセプトに、つがる市のメロンをはじめ、さまざまな産地のメロンを使ったお洒落なスイーツを楽しめる空間になっています。

―オープンのきっかけについて教えてください。

青森県といえば、りんごのイメージが強いですが、実はメロンの収穫量が全国第5位で、そのうち、7割以上はつがる市で作られています。つがる市では主に、屏風山と呼ばれる砂丘地帯でメロン栽培を行っています。砂丘地帯の水はけの良さ、昼夜の寒暖差によって、糖度が高くおいしいメロンが育ちます。地元JAでは、収穫されたメロンを、光センサーなどの技術を駆使して、糖度やネットの張り具合、熟れ具合などを測定します。そして、さまざまな基準をクリアした糖度15度以上のメロンを「つがるブランドメロン」、さらに糖度17度以上のものを「つがるブランドメロンプレミアム」として出荷しています。
ですが、好適な栽培条件、高いクオリティーを誇る全国有数のメロン産地でありながら、つがる市のメロンは首都圏ではあまり知られていません。人口減少が進むなか、メロン農家の高齢化、後継者の確保も課題になっています。そこで、メロンをフックにして首都圏の人につがる市を知ってもらい、つがる市を訪ねてみたい、住んでみたいという人を増やしたいという思いから店をオープンしました。

―首都圏にお店を出店するにあたり、こだわったのはどんなことですか?

店舗外観

実は、初期の構想段階では、つがる市のさまざまな特産品を取りそろえた、ごく一般的なアンテナショップをイメージしていたんです。しかし、それでは、競争が激しい全国のアンテナショップのなかで差別化が難しく、埋もれてしまう可能性もあります。そこで、つがる市ならではの“強み”と“オリジナリティ”を追求した結果、メロンに特化した「日本初のメロン専門工房」というコンセプトが生まれました。
メロンを好む世代をリサーチしたところ、30代以上の女性を中心に人気が高いことがわかり、お洒落な大人の女性が集まる街・神楽坂にターゲットを絞りました。店舗外観や1階の壁は、特注のメロンカラーのモザイクタイルを斜め貼りにし、メロン専門店らしいさわやかさとスタイリッシュなイメージに仕上げました。1階は、テイクアウトのほか、無料のメロンフレーバーウォーターを設置しています。2階のカフェは、隠れ家風のレトロな雰囲気。壁には、ホームラン、タカミ、レノンなど、つがる市が誇る5品種のメロンの色を再現したオリジナルカラーの万年筆をディスプレイしています。各テーブルには同色のマーカーを設置し、塗り絵が楽しめるよう工夫。コースターは、つがる市産の5品種のメロンの網目を凹凸で表現しています。また、体感ムービー「女の子とメロン」も上映。まさに、「味わう、香る、見る、聴く、触る」の五感のすべてでメロンを体験できる日本初の体験型ショップです。

店内写真 店内写真

―どんなメニューを提供していますか?

7月~9月上旬の3ヶ月間は、つがる市産のメロンを贅沢に使い、その時期に応じて全国各地から旬を迎えるメロンを取り寄せて、スイーツにして提供しています。一番人気の「生メロンのフルーツサンド」は、甘さを抑えた自家製の生クリームで旬のメロンをサンドしたもの。レーズンパンの風味とメロンがベストマッチだと好評です。「専門店のメロンクリームソーダ」は、メロン専門店だからこそ提供できる自信作です。メロン果汁にソーダを入れ、自家製のメロンジェラートとフレッシュなメロンをトッピング。生のライムとミントでアクセントをつけた、大人向けのビターな味わいです。「メロンのレアチーズジャー」は、メロンの層が美しいスイーツ。一番下からクッキー生地、メロンレアチーズ、メロンゼリー、メロンジュレ、フレッシュメロンが層になっていて、テイクアウトも可能です。このほか、季節に合わせてさまざまなスイーツを提供しています。旬の時期は、つがる市産のメロンの生果販売も行っています。また、2020年1月からはランチメニューとして、キーマカレーの提供も始めました。カレーにメロンの甘さを加えており、お米はつがる市産のつがるロマンを使用しています。

商品写真

―首都圏のお客様の反応はいかがですか?

多くのメディアに取り上げていただいたこともあり、オープン後は、連日、路地に長い行列ができ、数時間待ちになるほどの大盛況でした。SNS での反響もとても大きく、ツイッターなどの投稿を見ると、「青森のメロン最高!」、「メロン好きにはたまらない」、「おいしすぎて全メニュー制覇したい!」など、評判も上々。それまで、メロンといえば夕張、茨城、静岡というイメージしかなかった方にも、青森がメロンの産地だということをアピールするきっかけになりました。客層も幅広く、スイーツ好きの男性、家族連れ、外国人などさまざまな方にご利用いただいています。

―つがる市民やメロン農家の方たちの反応は?

つがる市の方たちは、東京に旅行に来た際にわざわざ立ち寄ってくれて、「がんばれよ!」と声をかけてくれます。メロン農家の方も、当店で提供しているメロンを食べて、「俺たちは、こんなにおいしいメロンを作っていたんだ!」と、感動し、あらためて自分たちが作るメロンを誇らしく感じていたようでした。
2019年9月には、つがる市の若手メロン農家3名を招き、「メロンとお酒とロマン」というイベントを開催しました。SNSで募集した当店のお客様との交流や、生の声を通じて、農家の方も、これまで以上においしいメロンを作るぞ!と、モチベーションアップにつながったようです。

―西巻さんご自身は、青森を離れてみてあらためて気づいたことや、青森の価値について感じていることはありますか?

地元に住んでいた頃は、当たり前すぎてその価値に気づかなかったんですが、季節によって移り変わる景色など、自然を身近に感じながら生活できるのが青森の良さだと思います。また、つがる市産のメロンに対する首都圏の皆さんの反応に触れ、自分のふるさとでは、こんなに素晴らしいものを作っていたんだ!と、実感しました。青森での暮らしは、実はすごく贅沢なものだったんだとあらためて感じています。

―最後に、今後の目標や展望をお願いします。

つがる市では、メロンの水耕栽培の実証実験にも取り組みます。軌道に乗れば、後継者育成にもつながり、当店でもつがる市産のメロンが通年で提供できるようになります。ショップのカフェは、つがる市と東京を結ぶコミュニケーションの場として、積極的に活用していく予定です。メロンをはじめとする様々な農産物の生産者や農家をはじめ、米農家、菓子店などいろんな人に関わってもらい、首都圏の人とつがる市民が交流できる機会を増やしていけたらと思っています。そして、多くの人につがる市の魅力を感じてもらい、最終的にはつがる市に移住して農業をやってみたいという人が増えていけばいいなと思っています。

このページの上へ